入口の怪しの門にあった一句

行楽は苦心惨憺阿呆かいな

これに尽きる。疲れた、疲れた。

春の房総めぐり 〜その2〜  山田 善一郎


    


酒匠の館

小泉酒造の直販店兼酒蔵のソムリエハウス「酒匠の館」に着く。
こんな田舎の山の中に結構立派なたたずまいだ。

お酒の試飲のほか、昔使った酒造りの道具を並べた資料コーナーも併設されている。
大吟醸を練り込んだうどんを食べさせるコーナーもあるが、まずはここの代表的な銘柄「東魁盛」や数々の種類の酒の試飲だ。

アルコール度19度、確かにコクがあり美味かった。 多種類の酒を次々と試みたので
小生は酔っ払い、真っ赤な顔に!


 試飲コーナー                            資料コーナー 昔酒造りに使われた道具が並ぶ



 早速試飲するひと                           大吟醸入りうどんを食すひと


酒の製造現場は見られず、こんなにたくさん種類の酒を売っているには多分OEMで酒を他社から調達しているのではと疑った。
ところがどっこいそうではなかった。後で会長に聞いた話:

煙草を吸おうと思い裏口から出ると小さな工場があった。大きな酒樽もないし、不思議に思ってそこにいた従業員に聞いてみた。
「ふつう酒は年に一度だけ寒い時期に仕込みます。一年分を一度に造ります。ここでは冷蔵仕込みという方法でやっています。
季節に関係なく何度か仕込みを行います。都度、販売・出荷する分だけ造っています。ただし、コストは多少高くつきますが、、」


 
工場入り口にある昔使われた大釜                   工場の壁に貼ってある工程表


寛成五年(1793年)創業で200年以上の造り酒屋は社員が自社田で米を作り、精米まで行うこだわりの一方、製造は新しい方法を採り入れ、生産のシステムは今流行のサプライ・チェーン方式とは。
鹿野山の麓にある興味深い酒屋でした。

お土産に(濁り酒)を購入。
石塚さんはいつも三八会のために熊本名産を送ってくれる酒好きの柏木さんに一本送ったとのこと。


養老渓谷

すっかりほろ酔い気分になってしまったが、次の目的地養老渓谷へと出発。
車は房総スカイラインを通り、亀山ダムを通過、ひたすら新緑の中を走る。
先導車が一度道を間違えたが、無事養老渓谷入口に到着する。

これから渓谷を歩き、滝巡り約4キロのコースだという。
先ほどの試飲の酒が少し残っており、行くのを止めようかなとも思っていたが、好天と春のすがすがしい季節に誘われ、散策を楽しむ決意を固める。

           

渓谷へ下りてゆく入口に不思議な門が待っていた。
門の柱には観音菩薩でもなく、またインドの神殿の女体像のようにも見える怪しいものが彫られ、少し色褪せているものの極彩色に塗られている。
中の柱には「行楽日苦心惨憺阿呆かいな」などと、今の俺を小馬鹿にしたような文句が書いてあるではないか。

     
      
誰が造ったものか怪しの栗又の滝入口の門


門をくぐり渓谷に下りる道はかなり急な悪路だった。
が川の岸辺に立つと、眼前に栗又の滝が新緑の中に開け、対岸には遊歩道が整備されている。
まずは滝の前で記念写真を撮る。


 
栗又の滝

養老川の渓谷には新緑の木々、渓流、小鳥のさえずりにつつじ、小生の名も知らない色とりどりの花々が咲いている。マイナスイオンを一杯に吸い込みながら遊歩道を歩く。
気分爽快ではあるが、やはり100%ではない。大吟醸がまだ残っている。



 
出だしは元気一杯だったが                     1キロも行かぬうちにこの有様


今日は来ていないが、「ウオーキングの達人」の小野山さんがいたら何を言われることやら。
それでも休み休みながら新緑の渓谷を満喫する。紅葉の頃も素晴らしいそうだ。
誰かが「少し水量が少ないね。昨日あたりに雨が降ればよかったのに」
人間年を取るとますます身勝手になるのだろうか?


 
新緑と渓流のハーモニー

2キロちょっとの遊歩道を何とか1時間あまりかかり終点の水月寺へ向かう。
渓谷を登る急な坂道だ。入口とは違い、綺麗に整備されてはいるが、とにかく急でしんどい。
動かぬ足、笑う膝を叱咤しつつやっとのことで登り切る。
ここの名物岩ツツジが待っていてくれた。
何とも言えぬ優しい色が疲労を慰めてくれた。



 
渓谷から上がる急坂                          岩ツツジ

会長や石塚さん達は水月寺の裏手の墓地近くで、岩ツツジの苗木を売っているおばあさんの講釈を聞いている。

「テレビや雑誌では岩ツツジと言っとるが、この辺では清澄ミツバツツジと呼んでる。ほら、葉っぱが三つ葉じゃろう。三つ葉ツツジは挿し木ができん。種まいて、大きくなるまで15年はかかる」

  
   
岩ツツジを説明するおばあさん                   水月寺境内


やっとのことで水月寺に到着する。聞けばここから車で来た国道を歩いて駐車場まで戻るのだそうだ。
皆に迷惑をかけまいと、ツツジの写真を撮ったりしている連中を尻目にまた歩き出す。
後でわかったのだが、みんなずるをしていた。
別ルートでたまたま水月寺へ来ていた杉岡車を発見。これで駐車場まで送ってもらっていたのだ。
とにかく最後まであきらめずにへとへとになりながら皆が待っている出発点まで走破した。