梅雨の晴れ間〜小田原城から早川漁港まで〜
                       -後編-  (文)佐藤幹郎 (写真)佐藤幹郎、石塚洋


ういろう
昔の衣装を着けた観光ガイドたちと一緒に集合写真を撮った後、再び常磐木門をくぐり、二の丸へと向かう。
お堀にかかる学橋を渡り、小田原城に別れを告げた。


 東堀から二の丸隅櫓を望む。桜の季節には絶好の撮影スポットとか。

つぎの目的地「ういろう」本店に向かう途中、小田原市立三の丸小学校の前を通る。小田原城に隣接しているためか、校舎のデザインが小田原城そっくりである。皆感心する。

小田原名物「ういろう」を売るういろう本店に到着すると、ここも小田原城と同じデザインなのに、一同またもびっくり。
外郎(ういろう)家は室町時代から続く神奈川県では最も古い店で、今も薬とお菓子の製造を行っていて、薬とお菓子の販売を同じ店舗の中で行っているところがユニークだ。

 
 ういろう本店                   薬の売り場で冷やかす連中


 名古屋名物にもういろうはあるが、こっちが本家本元の銘菓「ういろう」

ういろうを出て、次の目的地小田原文学館へと向かう。
石塚さんから「ここは中には入らず、足休めの休憩の場所にする」とのとのこと。
小田原にゆかりの深い、北村透谷、尾崎一雄、谷崎潤一郎、北原白秋などの資料が展示されているそうだ。
一度じっくり見たいものだ。綺麗に整備された庭が無料で開放されており、アジサイを眺めながら芝生の上で一休みする。
それにしても、梅雨を感じさせない、爽やかな風に吹かれて幸せな気分になる。


 小田原文学館にて

一休みの後、最後の目的地早川漁港に向け出発する。美味い魚で昼食兼一杯の予定だ。
15分ほど歩き、港近くを流れる早川の岸辺に到着。この川の河口に早川漁港がある。

 
 早川の流れ                    早川と漁港を眺める


魚市場食堂へ
早川漁港に着くと、お目当ての「魚市場食堂」に直行。
魚市場といっても正式には「小田原市公設水産地方卸売市場」という長ったらしい名前である。
魚市場食堂はこの市場の二階にあり、基本的にはこの市場の仕事に従事する人や、ここに水揚げする漁師さんたちの食堂なのだが、
一般の客にも開放されるや安くて美味いとの評判が立ち、いつも満員盛況の状態とか。

 
 市場の入口から二階へ               下は市場の作業場
 
 すでに長蛇の列                  ほとんどが観光客など一般の人のようだ

魚市場の作業場の階段を上がったところ「魚市場食堂」はあったが、一瞬「えっ」と思うほどの人の列が出来ていた。
石塚さんが狭い通路に並ぶ人の列をかき分け「予約してあるから大丈夫」と先に進む。
かなり長時間並んでいるのだろうか、「お前ら何で先に行くのだ」と言わんばかりの視線を感ずる。
食堂に入るとすでに戦争状態。この食堂は、入口の食券販売機から食券を買い、それをカウンターに置く。
注文した料理が出来上がると、カウンターから番号で呼ばれるので、自分で取りに行くセルフサービス方式になっている。
とりあえず超満員の食堂のテーブルの間を縫って、一番奥の予約席に辿り着くのに一苦労。
そこから、引き返して渡し口の前にある券売機でお目当ての料理を買おうとするのだが、何にするか迷う。
後ろから速くしろとの声も上がりまさに戦争状態。

 
                       超繁忙状態の食堂


  やっと予約席に落ち着く

混雑の中、皆それぞれお目当ての料理を選択、窓口で番号を呼ばれるまで待つ。自販機から、ビールや缶酎ハイなどを仕入れ、昼食を食べながらの一杯への準備も怠らない。
皆さんが選んだものをいくつか撮らせていただく。どれも新鮮で美味そうだ。
値段もこの内容で1,300〜1,500円と手頃で、ボリュームも十分だ。





献杯
さて、この日のために用意してきたものをカバンから取り出す。先日亡くなった川崎さんからの頂き物だ。
何時のことかは忘れたが、「何かの時に皆で飲んでくれ」と送られてきた。13年前の北海道旅行で、ニッカウイスキーの余市醸造所へ行ったときに川崎さんが買い求めた「10年物原酒」である。
だから今では23年物となる貴重な酒である。
川崎君は何も言わなかったが、恐らく病を知ったときにもうこれを飲む機会はないと覚悟して、大事にとっておいたのを送ってくれたのであろう。
箱にはアルコール純度50%とあり、一般の商品よりかなり濃い。

石塚さんが用意してくれていた、ショットグラスに少しづつ注いだ。
ここは持ち込みは原則禁止ということなのでこっそりと乾杯ではなく
献杯した。
50%ととても濃いのに素晴らしくスムースに喉を通り過ぎる。
まさに名酒である。

彼が他界してからまだ一月足らず、我々の捧げる杯を何処かで見ていてくれるかも知れない。
 
   改めて冥福を祈りたい。
川崎さんから頂いた「実質23年物NIKKA原酒

美味い物を食い、一杯が廻り始め、これからが談論風発の時間となるのだが、そうもいかないらしい。石塚さんが予約したときに、
滞留時間はせいぜい40~50分位にしてくれと言われたとのこと。この混みようではしゃーないと、重い腰を上げる。

そして帰途
市場を出て近くの干物センターを冷やかす。
石塚さんが推奨の卵焼き「玉よし」にも寄るがこの日はお休み。
ホテルに帰ったら夕食後の一杯の肴に買って帰りたかったのに残念!!

 
 干物センター                         玉よし

近くの早川駅から帰ることになり、ぶらぶらと駅に向かう。
途中、早川漁港の全景を眺める。美味しい魚が水揚げされるのも納得だ。

 
  早川港を眺める                       漁船の群れ

午後2時すこしまわった時間に早川駅に着く。
駅前の喫茶店で柄にもなくケーキを食べながらコーヒータイムを取ろうとしたが残念ながら
お店は開いていなかった。誰かが言った。「ここはやっぱり田舎なんだ」

良き友と歩き、眺め、少しく美味なるものを食し、ほんの少しの酒を飲む。
まさに「日々是好日」
万歩計は1万歩には届かぬも、9,000歩以上は記録していた。

良い梅雨の晴れ間の一日であった。