金沢文庫称名寺と金沢山散策(下) 

佐藤幹郎 (文と写真)


急勾配の行田の通りを下る。このルートも上りだったら難儀したろうと思う。
金沢山は76メートルとのことだが、山は高さの数字だけで判断してはいけないことを痛感。
下りだが手すりのないところあり。深作さんの作ってくれた杖が大いに役にたった。

金沢町公園に到着。小さな子供を遊ばせているお母さんが多数。
公園のすぐ前が県立金沢文庫だ。桜が綺麗だったのでここでも写真を一枚。



公園側は裏口だが、こちらからも入場はできるので、中で観覧料を払う。
65才以上は250円が100円に割引される。
切符には弁天様と大黒様がデザインされている。



金沢文庫は北条実時が13世紀の終わり頃建立した日本最古の図書館で、現在は北条家に伝わる資料や絵画、工芸品や称名寺の仏画・仏像などを展示する博物館として運営され、一画には鎌倉時代や北条家に関する現代図書を収めた図書室を併設する。



  北条家の勢力地図を見る面々



上は称名寺の本尊弥勒菩薩像の複製である。本堂にあるものは700年の時を経て変色が激しいが、これは建立当時の色彩をそのままに復元されており金色の体に瑠璃色の髪がまばゆいばかりだ。
ここへ来たらこのお姿を拝むだけでも十分だ。

当日は「特別展 中世密教と玉体安穏の祈り」が開かれていて、曼荼羅や仏画などが展示されていた。



毘沙門天、梵天、地天など仏教の神々。杉岡さんから梵天様はヨガの世界でも重要な神様のひとりだと教わった。

 

二階奥の現代書の図書室まで覗いて廊下に出ると、ベンチで一休みしている早川さんが何かチビチビやっているではないか。焼酎屋さんが造った地ウイスキーとか。早速お相伴。またもう一杯。マイルドで甘みがあってなかなかいける。足が痛いのも忘れる。

帰りは表の入り口から出て、称名寺に戻る。金沢文庫と称名寺の境内はトンネルで繋がれている。
トンネルの向こう側に境内の桜の木が見える。



このトンネルの中が実はちょっとしたギャラリーになっている。
安藤広重が描いた金沢八景の画が飾られているのである。
この界隈の八つの景勝とは

一.瀬戸秋月 二.洲崎晴嵐 三.小泉夜雨 四.乙舳帰帆 五.平潟落雁 六.野島夕照
七.内川暮雪 八.称名晩鐘


であり、金沢八景は今も駅名として残っている。
広重の画にはこれらの景色を詠んだ京極高門の歌が記されている。



 トンネルの壁にはめ込まれた広重の金沢八景のうちの「瀬戸秋月」
 歌は よるなみの瀬戸の秋月小夜ふけて千里のおきにすめる月かげ とある


トンネルを抜けると、そこに北条実時公の銅像が境内に向かって立っていた。



再び参道に戻り入り口付近の「ふみくら茶屋」へ向かう。予約の時間より15分早く到着。
二間続きの大きな座敷を自由に使ってください、ただし時間が若干かかりますという。
奥の座敷から賑やかな声が聞こえてくる。どうやら宴会が始まっているようだ。
女性の係が一人でてんてこ舞い。今朝予約したとき、場所は空いているが早く来られては困ると言っていた理由が分かった。人手が少なく、厨房の能力も小さいのだろう。
まずは一杯飲んで、ゆっくり構えましょうと、早川さんが注文をまとめ、ビールが来たところで乾杯。



ここの売りはなんと言ってもその日の朝近くの柴漁港で水揚げされた穴子やシャコ。
ところが、シャコはただ今禁漁期でないという。残念。
おのおの穴子天ざるや穴子天丼を注文する。
ビールや焼酎を飲みながらわいわい言っているうちに長い待ち時間も苦にならず、もう一杯飲もうかというタイミングで料理が登場。

 

穴子の他にカボチャ、ナス、ピーマンなど野菜天ぷらがどっさりついた揚げたてを食す。
江戸前の穴子は絶品だった。

飲んで、語り、食べ、ここで約二時間近くを過ごしてから、金沢文庫の駅に向かう。
午後三時少し前、これから喫茶店にコーヒーを飲みに行くひと、買い物に行くひと、帰るひとなどなど三々五々駅前にて解散。

万歩計は9,800歩を示す。 少し疲れたが、「日々是好日」を実感する一日となった。

                                                                              (終わり)