鎌倉 円応寺から八幡宮まで
                               (文と写真)柏木正弘
                              


 鎌倉八幡宮本殿前にて(石塚さん撮影)

9月27日(木)「非常に強い台風24号」の先駆けで雨がぽつぽつ。
雨中の散策は本年2月の第33回山八の浜離宮・築地場外市場の散策以来。
あの時の厳寒2月の雨と雪を考えれば初秋の小雨、全くNo Problem!
散策メンバーは、阿川,石塚、大川、進藤、広瀬、深作、柏木(散策レポーター)の7名。

「北鎌倉駅集合」を「鎌倉駅集合」と早とちり、鎌倉から慌てふためき取って返してきた進藤さんを待ったが、何とか定刻の10時に北鎌倉駅に集合完了。

今回の当初予定は、円覚寺の裏山を登り、昔は相模、伊豆、安房、上総、下総、武蔵の六国を見渡せたと伝わる「六国見山の頂き」を経て大船に到り、そこで恒例の宴会だった。
しかし、不穏な天候の下、「少々の雨でも決行!」と連絡案内で指示を出していた石塚リーダから
「今日は足許も悪そうだし、平地の散策に切り替えよう、円応寺は如何?」
との提案。メンバー一同、一も二もなく付和雷同的に、賛成!、賛成!!

「往時に六国を眺められるかも」との淡い期待とは裏腹に「山道を登らねば、、」との不安が交錯していた心理もあり、石塚さんの提案に一安心。
斯くして、当日のコースを、北鎌倉から、鎌倉街道沿いの円応寺に寄り八幡様を経て鎌倉駅に至り、JRで大船へ移動そして恒例の宴会ということに変更、散策をスタートした。


 雨模様の中スタートする面々

北鎌倉出発直後、街道左手の円覚寺の裏山見上げるに、「あんなところに登るのは息が切れるよな、平地はやはり楽だ、今日のコース変更大賛成!ラッキー!」と密かに心に叫ぶ。


 円覚寺の裏山

女の子達なら喜ぶような小洒落た店が点在する街道筋を、爺さん達は傘をさしながら縦列にて黙々と進む。


 静かに佇むイタリアレストラン


 傘を差して黙々と進む               円応寺入り口


やがて建長寺山門を左手に見ながら通り過ぎるとすぐに、街道右手の高い積み石の塀に切れ目が現れ、円応寺の入り口に到着である。

手入れの悪い狭い路地のような急階段、鎌倉の高名な寺院のものとは到底思えないが、これが参道らしい。その急階段を上りきったところに小さくこれも簡素にして壊れかけたような山門が。


 円応寺山門

そこをくぐり拝観料200円也を支払っていざ境内へ。

正式には臨済宗建長寺派円応寺と称する禅寺であることは確かなのだが、禅寺でよく見られる手入れされた瀟洒な庭園なんぞのひとかけらも見当たらず、むしろ荒れ果てた境内の雰囲気。

 
 円応寺境内                        閻魔堂

あるのは傾きかけたようなお堂が一つと傍に立つあばら屋のような庫裡のみ。やはり、冥土の旅、その段取り手続き等々に係わる処となると、建て屋の造りからもろもろ、うら寂しい雰囲気が漂うのはものの道理か。

傾きかけたようなお堂の中はとにかく薄暗い。もちろん写真撮影不可。一般的な寺院で見かけるきらびやかさや華やかさかのひとかけらもなく、土間に近い床に三方の壁にもうけられた貧素な棚板の上に、木彫らしき座像が無造作に十数体ずらっと置かれているのみ。各座像の前には「・・・王」と小難しい名称の小さな銘板が配置されているものの、堂の暗さと埃まみれのおかげで、それぞれが異様な形相であることは分かるが、それ以上の特徴や差異なんぞはとても判らない。

ただ、お堂の真正面の棚中央の座像一体だけは、一段と大きく、派手に彩色そして照明付き、円応寺の主役の閻魔大王である。


 閻魔大王像

我々に先立って堂内で観覧中の子供達(中学生くらいか)に、ボランティアのおじさんが、冥土の旅の概略・段取りや堂内の各座像の「・・・王」の役割などをとくとくと説明しているのを、暫し立ち聞き。
当初はその話に聞き耳を立てていたが、我が爺さん達、身につまされる立場ゆえ、この際冥土の旅の情報を入手せねばと、質問抑えがたく、横から口を挟み始め、やがて子供達からボランティアおじさんを奪って、質問攻めに。
そこで、人生70有余年にして初めて識る、冥土の一般情報や先々に控える諸難関の詳細情報、多々。
冥土もそう簡単に行ける世界ではないことを識る。
あの世に行ってからの段取りは、あの世に足を踏み入れてから、閻魔大王の手下の検事役の4人の王による罪状取り調べが、一週目から週毎に異なる人生の領域について順次行われ、四週間にわたる裁判を経てやっと五週目に閻魔大王が裁判官を務める法廷に臨むことが出来るのだという。

その中で、我々の関心のもっとも高い三途の川の渡河云々が二週目。実は、三途の川には橋が架けられていて品行方正、行いの正しき者はこれを渡りそのままダイレクトに極楽にゆけるとか。ただ、これは滅多にないことで大方の者は三途の川の浅瀬か深い流れを徒渉にて渡れと検事役の王に命じられ、向こう岸には、徒渉で濡れた着衣を引っぱがしにくる奪衣婆とそれを木に引っかけ当事者の罪状をこれ見よがしに喧伝する懸衣翁などの手下の鬼が控え、袖の下を渡しても、ただ取られるだけで何の見返りもないそうだ。斯様な意地悪を受け濡れ衣を着せられて5週目に閻魔大王のお白州で地獄行きや畜生への転落を言い渡されるとか。我が人生振り返るに、冥土の世界、明るい展望、描くこと難しく絶望的。

少々神妙な気分で、これからの日々を然るべく過ごさねば、、、と少々落ち込んだ気分でお堂を跡にすると、何せ後期高齢者、一同尿意を催し始めるものの、門番小屋の傍には「トイレはありません」の表示。
閻魔寺とは言え、観光地だろう。多くのお客さんがくるのにトイレがないとは普通はあり得ない! 
庫裡らしき建て屋のガラス戸を引きトイレの有無を確認するに、標識通りの応答。
閻魔様のにらみの効いている境内でトイレの有無を云々、口にすることは甘えそのもので、不可の模様。
これが冥土の旅への厳しさの兆しか。
迫る尿意に耐えながら取るべき策は唯一トイレの可能性のある鎌倉八幡に急ぐことのみと。円応寺から4〜500メートル、八幡様参拝者の休憩所に到達、ホッとして一同放尿、しばしの幸せ気分。


 一同が駆け込んだ鶴岡八幡宮の御手洗い

落ち着いたところでメンバー一人(広瀬さん)が見当たらないのに気づき、早速に携帯で行方を捜索。彼はすでに八幡様の階段の上に、とのこと。各自尿意に必死に耐えるあまり、注意散漫、大事な仲間を見失ってしまった失態、反省すべきか。
八幡様の参道最上段の本殿前に一同急行。しかし、広瀬さん見当たらず再度携帯捜査、階段下の舞台の傍とのこと。階段最上部から見ると、舞台の周辺には参拝客が豆粒のようにウロウロ、ランダムな豆粒の動きの中で一粒だけがこちらに直線的に動いてくるのを発見、広瀬さん。

 
 迷子捜しに必死        広瀬さん発見!

斯くて全員そろったところで集合写真(冒頭の写真)
本日の散策も残る楽しみは、大船に戻っての宴会に。

鎌倉駅に向かう途中改めて気が付いたこと一点。日本酒の酒樽、文字図柄それぞれに特徴的。八幡様の参道で見かけた八幡様への寄進を伝えるディスプレイ。

酒樽もこれほど集めるとある種の美的雰囲気が醸し出されてきて、感心。ただ、一部、缶ビールや食用油の商標図柄が顔を出していて、少々場の雰囲気をぶっ壊し気味。  
寄進を受ける立場上止む得ない事情かとは言え、残念。


 酒樽の前で

宴会は大船駅前商店街の路地裏に店を構える「四川厨房」、石塚リーダのお薦め。
料理はそこそこに美味い。ただ、皆注文したHot & Sour Soupについては、小生には久々に美味いスーラータンだったが、辛すぎる!否Ok!だと好悪両論あり。


 四川厨房での打ち上げ

料理を楽しみながら「俺が最初に三途の川を渡る!」と公言する猛者、さすれば後陣にあの世の状況を伝えろよな(無理?)と畳みかける面々。そして、三途の川を渡る(皆、三途の川に架かる橋を渡れる自信がない面々ゆえ)際の袖の下の相場談義、昔は六文と聞いていたが当節はいくらだろうか、等々、いつもながらの好き勝手論議を楽しみ、第37回山八散策、無事終了。
申し訳なくも、レポーター、当日の歩行歩数の測定を失念、記録をお持ちの方がいらしたら佐藤会長にお伝え下さい、後日、会長に本稿の修正をお願いしましょう。
後刻、広瀬さんの万歩計で8,450歩だったとの報告あり。

余談その1 この勝手論議の延長で、「四川厨房」のマスター陳さん(なかなかのすがすがしい若い気のいい男)にカメラのシャッターを頼むついでに出身等々身上データや商売事情を根掘り葉掘りヒアリング。
気のいい中国人兄ちゃんと思いきや、当の店に加えて大船に別にもう一軒、そして石塚さんによる当日の宴会場所の設定の切掛けとなった横浜の「四川厨房」も併せて、これらの店の経営者とか、要は社長さん! 若い兄ちゃんでも凄腕、商売上手の中国人。わが日本の若者も逞しく斯くあって欲しいものと。

余談その2 この度の散策で、我々に身近になりつつある冥土に関する諸情報に接し、教養が高まり教訓を得たものの、日頃の我が身を振り返るに、あまり明るい展望には到りませんでした。
しかし、帰宅後、円応寺の紹介パンフレットにつぶさに目を通すに、一挙に明るい展望が出現。
キリスト教の免罪符に相当するものが我らが身辺にも在ることが判明。それも西欧の免罪符のように有料ではなく無料の手立が。下記「懺悔文」をよーく暗記しておけば、三途の川も、検事役の「・・・王」も、さらには閻魔大王も、もはや怖くない、すべて一挙解決、朗報です。ご参考に。



                                      以上