晩春の新宿御苑

           (文)佐藤幹郎 (写真)佐藤幹郎、石塚洋*


  新宿御苑に集合

年々さくらの開花が早くなり、山八会の桜見物もすでに二回も行われた。
とはいえ、春が恋しい北辺の地に身を置く者にとって、桜開花のニュースが毎日流れると正直言って、居ても立っても居られなくなる。
5年前にみんなで行った新宿御苑の遅い花見を思い出し、石塚さんに開催をお願いしたら快諾を得、今日4月12日がその日である。

朝起きると、昨夜チェックした天気予報が見事に外れ、ホテルの部屋に日が差し込んでいるではないか。
勇躍、JR武蔵小杉から新宿へ向かう。
昔は南武線にわずかに東横線が乗り入れていた「薄汚い感じ」の駅だったが、今や合計6路線が入る大ターミナル駅に変貌しており、湘南新宿ラインを利用して、たった20分で新宿に着いたのにはビックリである。

10時の待ち合わせ時間より50分も早く着いたが、前回の待ち合わせ場所南口とは違っていて、東南改札口となっている。まずは東南口を探さなくてはならない。

予め、ネットで調べてはあったが、田舎者にはやっぱり分からない。駅員に訊こう。
やっと見つけたら、外国人が質問して英語で答えている。私の前にさらにもう一人いて、中国人らしい。
この人も中国語で的確な答えを得たのか去って行った。
最近のJRの駅員さんの語学力がすごいのに感心!
駅の構内を行くと迷いやすいので、一度外の道路へ出てから東南口へ行った方がいいですよ、と親切に教えてくれた。

さて、やっと東南改札口に着いたが、まだ集合時間まで40分以上ある。近所のコーヒーショップに入って
時間をつぶす。周りは外人ばかりで、あまり居心地は良くない。新宿はとくに外国人が多い気がする。

集合時間が近づき、真っ先に石塚さんが現れ、その後続々と集まってきた。しかし、小野山さんだけが
姿を現さない。石塚さんが、再び改札口から中に入り、探し始める。やっと電話で連絡が取れ、やはり
東南口がわからず、探している模様。

その後、電話連絡も途絶え、集合時間を15分過ぎたが、現れず。
仕方がない。新宿御苑に向け、出発しようと歩き出した時に、彼から電話連絡あり。すでに新宿御苑に着いたので、そこで待っているとのこと。


  なかなか現れない小野山さんを待つ

10時20分やっと新宿御苑を目指し歩き出す。途中、右手に新宿高校の校舎が見える。
今日は、矢野さんが久しぶりに三八会に顔を見せる予定だ。彼は母校であるこの新宿高校へ寄った
後、新宿御苑の入り口で我々を待っていることになっている。


  新宿高校。創立100周年などの垂れ幕が見える。

新宿門に到着。老人割引を受けるために、自販機ではなく係員のいる窓口に並び、免許証を提示して
250円也の入場券を購入。小野山さんとは出会えたが、矢野さんが見当たらない。
石塚さんが皆を促し、新宿門をくぐる。
ここで、枝垂れ桜と新宿門を背景に集合写真を撮る。
そして、新緑の苑内へと歩を進める。予報が外れ、ほぼ快晴となったが、風が少々強い。
しかし、桜吹雪とはゆかぬが、ときどきハラハラと緑のなかを花びらが舞うのは何とも心地よい。


  新緑の中を行く

道の途中で若いツワブキの葉が茂っていた。秋の終わりには黄色い花が咲く。大分に住んでいたとき、
近所の人から「油炒めにして食べると美味しいですよ」と貰ったことがある。
北海道のフキに比べればアスパラ程度の細いフキだが、美味しかったのを思い出した。


  ツワブキ

同じ茂みの中に紫色の花が沢山咲いていた。ムラサキハナナ(紫花菜)というアブラナの仲間だそうだ。
これも食用になるらしい。


  紫色が鮮やかなムラサキハナナ

野の花を眺めながら進むと、三角花壇に到着する。
キンギョソー、パンジー、スミレ、ビオラなどが文字通り妍を競って咲き乱れている。
ここのチューリップの球根は皇室に献上されるというだけあって見事だ。


  三角花壇にて


  三角花壇の花たち


さらに進むと大きなイチョウの木があった。おそらく樹齢はゆうに150年を超えているのだろう。秋には紅葉で輝くイチョウも新しい芽を吹き出したばかりである。
美しい神宮外苑の銀杏並木もここのイチョウの種子から育てられたときく。


  芽吹いたばかりの銀杏の大木

かなり歩いたので、休もうということになり、中央休憩所に寄る。
中へ入ってコーヒーでもと思ったら、誰かから「そこの自販機で飲み物を買った方がはるかに安上がりだ」との声あり。
それもそうだな、と三々五々自販機から買い求め、外に置いてある椅子を占領する。


  休憩所で一休み

一休みした後は、晩春の今を盛りと咲き誇る桜見物だ。
ソメイヨシノが散った後にここで咲き出す桜の種類は25にものぼるという。
素人の小生にはどれも枝垂れ桜か八重桜にしか見えないが、それにしても見事な咲きぶりである。





桜の下で記念撮影を行う。


  雨の天気予報を外した「天気男」集団



  桜とドコモタワー(NTTドコモ代々木ビル)を背景に*

石塚さんがパンフレット「新宿御苑のみどころ」を手に、そろそろ池の方に行こうと皆に呼びかける。
5年前に来たときに得たものを、保存していたという。「流石だね」の声があがる。


  咲き始めたツツジ

ちょうど咲き出したツツジを眺めながら、中の池の方向へと進む。
中の池に到着。快晴の空を映す中の池の景色をしばし眺める。


  中の池の景色を眺める

池の畔にグロテスクな木の塊があった。「アメリカンディゴ」と表記されていたが、石塚さんは見るなり
「これは海紅豆(カイコウズ)だよ。大分工場に沢山あった」と叫ぶ。


  海紅豆。剪定されて丸坊主だが、わずかに芽を出しているのが見える。

小生も大分時代を思い出し、当時のF工場長が詠んだ戯れ歌(?)
  切られても またも芽を吹く 海紅豆

が頭に浮かんだ。
協力会社の社長連中が「あの歌は毎期厳しいコストカットを要求され、それでも何とかやってきた
俺たちの姿を詠んだものだ」と盛んに喧伝していたのを思い出した。
今はこんな姿でも、初夏には見事な深紅の花が咲くのであろう。

石塚さんが「そろそろ12時近くなったから、大木戸門へ行こう」と皆に声をかける。
大木戸門を出て、少し歩くと東京メトロの新宿御苑駅があり、ここから一駅で新宿三丁目駅の2B出口から
地上に出ると、そこに昼食会場の「松尾ジンギスカン」があるからだ。

新宿御苑の最も広い芝生(風景式庭園)を横切り、彼方に見える温室の方向を目指す。
温室に近づいた時、奇跡が起こった。
背中を後ろからポンポンと叩かれ、後ろを振り向くと、何とそこには矢野さんが立っているではないか!
「新宿門で11時頃まで待っていたが、誰も現れなかったので、独りで園内を回っていた。
こんな広いところで、お互い動き続けていて、まずは絶対に遭遇しないと思っていた」という。


  奇跡の再会

「横綱審議委員会長としてTVで見ていた姿より、実物の方が若々しいね」とのコメントや
「まだ東芝フィルのメンバーで演奏してるの?」などの質問とともに、立ち話が延々と続く。

予約したランチの時間が迫ってきたので、記念写真を撮り、一緒に大木戸門へ向かうことになった。
矢野さんも我々と同じ地下鉄で荻窪方面へと帰宅するという。新宿三丁目駅で、矢野さんを車内に残し、お別れする。
いずれまたゆっくり話をしたいものだ。


  久しぶりの矢野さんと


東京メトロ新宿三丁目駅の2B出口から地上に出ると、石塚さんの調べたとおり、目の前のビルの5Fが
ランチに予約した「松尾ジンギスカン」だった。


  地下鉄出口にある「松尾ジンギスカン」

早速店に入り、個室に案内される。

特上ラムランチセット(肉150gr、野菜盛り合わせ、ライス、スープ、ソフトドリンク飲み放題付き)で1,800円也を注文。
北海道限定のサッポロビール生クラシックがあるというので、これも注文。
何故北海道限定品があるのか?と思っていたら店員曰く「缶ビールになります」なるほど、なるほど。

待ってましたとばかり、乾杯!乾杯!






  北海道限定サッポロクラッシクを新宿で飲む

ジンギスカンは2004年、北海道恵庭のサッポロビール工場内の野外レストランで食して以来、実に
19年ぶりとなる。

  肉を焼き始める

先ず鍋の周辺に野菜を敷き、中央で肉を焼く。焼いた肉の汁と脂が野菜にしみ込み、美味しくなるという
のがジンギスカンの仕組みである。特上ラム肉だけあって、マトンの臭みは全くなく、歯の弱い老人にも
バリバリ食せる柔らかさである。
トングを使わず、自分の箸で肉をつかみ、誰かに注意された。しかし、自分の箸で誰彼のを問わず肉を
つかむのが北海道流ではあるが、コロナが完全に去っていないこのご時世、だまって従った。

80歳をゆうに越えた老人たちとも思えぬ食欲と飲みっぷりで、ジンギスカンとビールがドンドン片付けられてゆく。そして、最後の〆にサービスのウドンが出てきた。
これを鍋の周辺に溜まった肉汁と野菜からしみ出したスープの中に投入。
皆さん、競うようにあっという間に平らげた。


  〆のウドンを投入


天候に恵まれた5年ぶりの新宿御苑で沢山の花に出逢い、美味いビールとジンギスカンで締めくくった
晩春の一日。佳き仲間達に感謝して帰途につく。

広瀬さんの公式(?)歩数は5,987歩と報告された。


                                おわり