PC老人の震災日記(5)
                          

9月11日 8:00 命のバトン

地震が起きた日に町に一軒だけある病院に薬をもらいに行く予定だった。
9月6日には薬が切れたわけだが、旅行鞄の中から2日分が見つかった。
普段家にいるときは、家内の監視があるので、飲み忘れはないが、旅行へ出かけたときはよく忘れてしまう。
今回はこれで助かった。とは言ってもこれで3日ほど薬を飲んでいないのだが、とくに体の不調はない。
今日から開院というので、いつもより早く出かける。
しかし、予想通り受付時間の30分前には老人たちであふれ返っている。
血圧測定と採尿と採血は行われた。しかし、血液と尿の分析を行う装置がまだ立ち上がっておらず、すぐに医師の問診があり、あっけなく薬がもらえた。

「また地震があるかも知れませんから、お薬手帳はすぐ持ち出せる所に置いて下さいね」と薬剤師さんが親切に言ってくれた。
私は家内のアドバイスもあり、常時、居間の壁に、健康保険証、お薬手帳、診療カードなどをぶら下げている。



家に帰って、薬剤師から言われたことを家内に報告すると、
「万が一お薬手帳がなくなっても、空で薬の名前が言えないと駄目らしいわ。私は2種類しか飲んでいないからちゃんと言えるわよ」
それにひきかえ小生は、降圧剤だけでも3種類、その他高脂血防止剤、血栓防止剤などなど計7種類。
ニフェジピン、トラゼンタ、ランソプラゾール、、、、、、こりゃー駄目だ!憶えられるわけがない。

「そういえば、去年消防署が持ってきた命のバトンというのをまだ作っていないわよ」と家内が何処からか
プラスティック製の筒を出してきた。
意識を失って救出された時に役立てるために、必要事項を記入してこの筒に収納して、冷蔵庫に入れ、冷蔵庫の
扉に救急車の絵が描いてあるシールを貼っておくというものだ。
 
  

ま、この際だからちゃんと記入して冷蔵庫に入れておくか。


13:30 災害ゴミ回収騒動

昼食後、災害ゴミの受け入れが始まっているとのことで、車に段ボール2箱に入れた災害ゴミを積み、10分ほどの運動公園
へと向かう。災害ゴミといっても、食器棚から飛び出して割れた食器類がほとんどである。
前にも書いたように、前回の地震の経験から食器棚を買い換えたので、今回の量は半分以下とのことである。
役場は町外れにある運動公園の100台以上入る広大な駐車場を災害ゴミ置き場に指定している。

到着すると、町の職員がいて「ゴミ搬入入り口へは一方通行にしているので国道へ回れ」と言う。
国道へ出ると、路側帯に最後尾が見えないほどの車列ができていた。

 
 我が家の災害ゴミ                苫小牧方面からの国道に列ぶ災害ゴミを捨てに来た車


あきらめてゴミ収集場所の近くに戻り、災害ゴミ捨て現場の状況を見学することにした。

 

ここから更に別の処分場へ運ぶため、重機による壊れた家具の解体がすでに開始されていた。その奥には多数の冷蔵庫が林立している。
ソファーやベッドも捨てられている。驚いたのが家電製品の多さである。全体のスペースの半分以上を占めている。
しかもその大半がアナログテレビである。

 
 大量に廃棄されたアナログテレビ           懐かしの東芝ブライトロンも発見

現場で見回りをしていた役場の若い職員を冷やかす。
「アナログテレビが沢山捨てられているけど、地震に関係ないよね。もともと使えないから部屋か物置にあったのを
便乗で捨てに来たものだろう?」
「、、、、、、、、、、」
「液晶テレビもあるけど、画面が壊れているものはほとんどない。年末にかけて4Kへの買い換えのために捨てに
来たのでは、、、。これも便乗かな」
「、、、、、、、、、、」
「ソファーやベッドが捨てられているけど?」
「脚がとれたとか、壊れたと言ってました」
「どうしてわざわざ一度町を出て苫小牧側の国道からここへ入って来なきゃいけないの?捨てに来ている大部分の
 車は苫小牧の住民じゃないのか?」
「朝1番ごみの受け入れ前に、苫小牧方面からの車列ができてしまっているんで、しょうがないんです」
「苫小牧市のHPには家電リサイクル品やソファやベッド類は災害ごみとして受け入れないと書いてあるので、
 苫小牧の住民が便乗して捨てに来ているだけじゃないのか」
「まぁ、物を捨てて新しい物を買わないと生きてゆけない社会ですからね」
 と小うるさい爺さんに早くいなくなってくれと言わんばかりであった。

家電リサイクル法は半分はうまくいっていない。アナログテレビはまだ家庭の中にゴミとしてかなりの数存在し、
こういう機会に捨てられ、その機会のないものは山野への不法投棄されているに違いない。
他の買い換え対象の家電も同じだ。メーカーによって多少の違いはあるが、冷蔵庫で5,000円、テレビで3,000円の
リサイクル料は可能ならば払いたくないのが本音なのだ。

結局、我が家の災害ゴミは段ボール一個当たり80円也のゴミ証紙を貼って、有料回収に回すことにした。
地方のひとたちが100円の現金も惜しむのは、アベノミクスが田舎まで浸透していないせいなのだろうか?

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