ねこバスと肝っ玉かあさん
進藤 政道
9月20日石塚、高橋、広瀬、小野 それに進藤はかなりおもしろい体験をした。

この日、三八会の公式行事として足柄にあるアサヒビールの見学会を行うことになっていた
が、多忙なメンバーが多く参加者は暇人のわずか前記の5名。
10時に新松田駅で待ち合わせバスで工場に向かうこととなった。

定刻の10時10分バスは発車したが駅前を出てしばらくは幹線を走っていたが、突如間道に入ったかと思うとそこはもう「となりのトトロ」の世界、細い田舎道を恐れも無くバンバン飛ばす。
レトロなボンネットバスではないが、冷房も無く、窓は今式ではなく旧式の2枚上下式、
冷房も無いのでこれを開けて涼を取る。
わき道からオッサンが自転車で飛び出してきて我々の乗ったバスに気づき慌ててドッテンひっくり返る。
それでもこの「ねこバス」は何事も無かったように細い田舎道を突っ走り間道をあちこち抜けに抜けて目的地アサヒビール神奈川工場に到着。
着いてみるとここもまた別世界のような広大な敷地に安藤忠雄設計の優雅なゲストハウスと後に連なるステンレス製の無機質なタンク、配管のコントラスト、前庭には朝昼夕と色を次第にピンク色に染める酒にぴったりな酔芙蓉の花の優雅な群落、とてもビール工場とは思えない雰囲気にマタマタびっくり。

お決まりのビールの製造工程の説明を一通り聞いてから目的のビール飲み放題タイム。
スーパードライと黒ビールを交互にたらふく(とは言っても皆さん呑み助の割におとなしく2杯程度で収めてましたね・・)飲んで赤ら顔。

ところで読者の皆さん黒ビールと普通のビールの違いをご存知ですか。
我々5人はこの違いを聞いて意外性に驚嘆と感動の一瞬を過ごしたものでした。
更に通信販売でしか買えないアサヒのまぼろしのカルピス味飲料もついでにのみ干し満腹満腹。
時間が来て体よく工場を追い出されて、さてこれからお寺でも行くかとバスを待っていたら
ポツポツと雨。
アリャと全員思いつつ赤い顔して空を眺める。
しばらくしてバスが来て全員乗り込むが今度はねこバスではなくありふれた普通のバス、これで
大雄山鉄道の駅目指して走る。

終点でバスを下り次の目的地である最乗寺へ行こうかどうか、飯をどうしようかなどと話しながらバス停でたむろしていたところに同じバスに乗ろうとしていた50歳台の女性が我々の話を聞きつけ 
「それならソバの美味しい茶店があるからそこへいきなさい、今から私が携帯で食事とその後の参詣のための車の手配をしてあげる」
と我々の意志も聞かずにtel。後で聞くとこの女性、名前を「上」さん・・カミさんと読み
我々にとっては全く地獄で仏ならぬ神さん!?
結果全てOK、了解取れたとのこと。そこへ頃合よくバスが到着。 

バスは街中を暫く走ったと思うといきなり山道へ、しかも両側が直径が1m近い杉の巨木が鬱蒼と生い茂った中を登る。
晴れた空の中を走るのもいいが、雨にけむる杉木立の中をたった一台で走るのも又幻想的でいいもの。

喘ぎつつ登っているうちに終点に近づいたその時道路の横で我々のバスに向かって手を振る仁王様のようなオバンが目に入る。
さては電話の相手はこのオバンだったのかと了解。バスは停留所でもないのにオバンの手に導かれるようにストップ。
それはまるでテレビの肝っ玉かあさんのようなキップのいいオバンで糠味噌のきゅうりを山盛りビールのつまみでサービス。その後の山掛けソバも本物自然薯の本格派、皆腹いっぱい食べて大満足。
しかし雨脚はひどくなるばかりここで諦めて引き返すかと話していたら、くだんのオバンが車で寺まで
送っていって、参詣したら大雄山の駅まで送ってやるから参詣はしなさいとの薦め。

話が纏まったらオバン、今日はこれで店はおしまいとさっさとシャッターを下ろし始める。
だが車は商用のライトバン、とても80kg近い巨体の某氏を筆頭に5人の大人が乗れそうもなく、躊躇していたがオバンは平気の平左で我々を押し込む。
境内に入り通行止めの標識もなんのその、どんどん奥まで入り込みついに本堂の前まで至った。
そこで我々を下ろし、待っているから参詣してくるよう言う。
言われるがままあちこち眺め本堂でナンマンナンマンして車に戻る。

駅までの道すがら彼女は5年前に亭主と死に別れ以後やもめであること、子供は二人でいずれも男、孫まで男だけで嫌になっちまうとちょっと本音をもらす。
きっぷはいいが亭主に先立たれた妻の悲哀を少し垣間見た思い。
駅に着き彼女に丁重なお礼を言い別れる。

雨もやっと小降りになり、今日一日のかけがえの無い思いに浸りながらローカル線の電車で帰路に着いた。

                                       おわり


                                                             










曹洞宗 最乗寺 参拝を済ませて。
鶴見;総持寺が本山と聞いて三八会全会員の健康と幸せを祈り浄財(2000円)を会費から捧げた(石塚)