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久しぶりに近所の堤防の道を散歩する。しばらく来ないうちに道の両側のいたどりが繁茂して
私の背より遙かに高くなっていた。おかげで、右手に拡がる田んぼや、左手に流れる川の景色が全く見えなくなってしまった。
ときどき車も通るが、両側からせり出したいたどりの葉っぱを擦りながら通ってゆく。
堤防の管理をしている職員が車で通りかかったので、尋ねてみた。
「見通しが悪くなって危ないですよね。草刈りはしないのですか?」 答えは
「このいたどりの茂みの中に小鳥の巣が一杯あるんだ。雛たちが巣立ちするのを待っているのさ」
なるほどと思って、草むらを何カ所か透かして見てみたが、それらしきものは見つからなかった」
と、頭の上で小鳥の鳴き声が聴こえた。ノビタキだ。いつも美しい声で鳴くが今日は少し鳴き声が違う。
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親鳥と少し離れたところに雛がいた。雛はまだしっかりと飛ぶことが出来ず、いたどりに止まっている様子もぎこちない。親鳥は私が居るのを警戒して雛に教えているようだ。
雛はどうやら巣立ちしたばかりで、飛び方とか餌の捕り方などを親に教わっているところと思われる。草刈りまであと何日あるのだろう。「早く独り立ちしろよ」と声をかけたくなる。
いたどりは私の子供の頃はスカンポと呼んでいた。
母に言われて近所にスカンポの葉を取りに行ったのを憶えている。
若葉のスカンポの葉の天ぷらで一杯やるのを父は楽しみにしていた。
また、友達からスカンポの茎の皮を剝きしゃぶると美味しいとも教わったのを思い出した。
スカンポの若葉
スカンポといえば、白秋の詩に山田耕筰が曲をつけた名曲「スカンポの咲く頃」が懐かしい。
(ここをクリックすれば聴くことが出来ます)
数日後、この堤防の道へ行ってみると、あんなに茂っていたいたどりが綺麗さっぱりと刈り取られていた。道の両側には田んぼと川が見えるようになっていた。
いまはあの鳥たちの声も姿もない。何処に行ってしまったのだろう。
いまは堤防の上を渡るかすかな風の音が聴こえるだけだ。