お袋の三十三回忌で釧路へ行ってきた。
お寺での法要を待つ間、近くの春採(はるとり)湖へ行く。
春採湖は周囲5km足らずの小さな湖だが、小学校から高校まで、遊び場であり、憩いの場であった。
湖まで自宅から歩いて約10分、通った中学、高校はそれぞれ湖面を見下ろす丘の上にあった。
冬は全面結氷して、天然のスケートリンクとなり、氷が溶け出す頃には、ワカサギが良く釣れた。
お袋に天ぷらや佃煮にしてもらったのが懐かしい。
フナやウグイ釣りに精を出し、釣りに飽きると湖岸にある先住民の縦穴跡に入り、土器のかけらや矢じりを
集めて遊んだ。
昔、アイヌが戦争をしたときの砦跡には鬱蒼たるドングリ林があり、ターザンごっこに絶好の場所だった。
久しぶりに行ってみると、丘の上のわが母校はすでになく、その場所には立派な博物館が建っている。
対岸にある炭坑から石炭を運び出す汽車の線路もなくなっていた。
一番の釣りのポイントだったボート屋の小さな桟橋があったあたりは、サンクチャリ(野鳥観察小屋)に
変わっていた。
湖を一周する立派な遊歩道も整備されている。
湖岸に遊ぶ野鳥オオバンをからかいながら遊歩道を少し歩いてみる。
看板あり。「危険ですから、湖岸に下りてはいけません」「ここで魚をとってはいけません」
いまどきの子供は可哀想だ。
ここには、フナが突然変異して生まれた金魚のような色をしたヒブナが生息している。
天然記念物になっていて、産卵の頃、岸辺にわずかに姿を見せるだけだ。
今の子供はそれを見つけることもないのだろうか。
サンクチャリ 目の赤いオオバン
春採湖に来た目的がもう一つある。
湖畔にある蕎麦屋「竹老園 東屋総本店」で蕎麦寿司を食することである。
この蕎麦屋は、明治四十五年創業の老舗で、かって昭和天皇がここで昼食を摂ったときに
あまりの美味さにおかわりをされたという伝説が残っている。
この蕎麦屋が変わっているのは、入り口が二つあることだ。
暖簾のかかった普通の蕎麦屋風の入り口と、立派な日本庭園を通って座敷に上がる入り口である。
普通の入り口からは椅子席の店内へ、庭を眺めながら座敷で蕎麦を食う客は庭園入り口からどうぞ
というスタイル。
竹老園 庭園入り口 蕎麦寿司 590円也
さて、「蕎麦寿司」だが、ゆでた蕎麦をすし酢で処理し、ほんのりとわさびをからめたものを海苔で巻いたものだ。
食事というより、これをつまみながら一杯というのに絶好だ。
だが今日はこれからお寺でお袋の法要があるので、一杯は我慢して、春採湖畔を後にした。
春採湖と蕎麦寿司
2004/09/19 佐藤 幹郎