海跡湖紀行(上)
佐藤 幹郎
北海道の釧路から襟裳岬に至る太平洋岸に代表的な海跡湖があり、原生花園や鳥たちの楽園となっている。
海跡湖というのは、大昔(大体八千年前〜一万年前)、地球の氷河期が終わった時に海の水位が上がり、陸地に押し寄せて入り込んだ海水がその後の地盤の変化などで海と隔てられて出来上がった湖のことらしい。
九月下旬、釧路へゴルフに行った帰りに三つの海跡湖を探訪した。
釧路を出発して約1.5時間、北海道の大農業圏である十勝平野へ入る。
酪農家の広大な牧場、ジャガイモ、トウモロコシ、大豆などの畑の続く緩やかな丘陵を坦々と走る。
この辺りは水田は全く見られない。
国道38号線から国道336号線(通称ナウマン国道)へ。ナウマン国道の名は、この先の忠類村で氷河期に生息していたというナウマン象の化石が見つかったことに由来する。太平洋とほぼ平行に走るナウマン国道沿いにこれから訪問する三つの海跡湖がある。
ナウマン象が住んでいたのは約4万年前というから、その頃はこれらの湖は存在しなかったことになる。
長節湖
長節はちょうぶしと読む。湖に到着してみると、湖岸にはシジミ採りをしている数人の人がいるだけ。
早速、シジミ採りの人と話をする。本当は来月ぐらいが粒も大きく美味しくなるそうだが、水が冷たくなってとても採る気にならないという。
どうやら、この人達は自分の家で食べる分だけをのんびりと採っているようだ。
今年、抗生物質が検出されて騒ぎになった中国産の養殖ものを食わされているわれわれには羨ましいかぎりだ。
長節湖
しじみを採る人
もちろん天然もの
佐藤 春夫の詩碑
湖岸にひっそりと立つ詩人・作家 佐藤 春夫の詩碑を見つける。
蝶伏のうららかに 咲くやはまなすえぞきすげ
にほふ岸べのゆかしきに うべ春しほの寄せ来る
とある。
この詩の中にあるハマナスやエゾキスゲはまだ咲いているのだろうか?
海岸の方へ出て探してみる。エゾキスゲは5、6月頃に咲く花だからさすがに見られなかったが、ハマナスはまだ咲いていた。
花が終わったものには立派な実がなり、しかも真っ赤に色づいている。
ハマナスの花
ハマナスの実
子供の頃おやつ代わりに食べたのが懐かしい
海跡湖だけあって海との接点は幅20メートルほどの砂丘だ。
太平洋の荒波がすぐ近くまで迫っている。
海との接点。右側が長節湖、小さく白い波頭が見えるのが
太平洋
鮭を釣る人達。川に遡った状態で捕獲しないかぎり
密漁にはならない。
砂浜には鮭釣りの竿が林立している。近くの川に遡上するため回遊する鮭をねらっている釣り人達だ。
この数年、鮭釣りの人気が過熱気味となり、本州からの釣り人も激増、文字通り砂浜にロープを張って縄張りをする者も現れるとか、、、
次の目的地、勇洞湖へと車を向ける。
途中で、ある修行僧に出会い、興味ある話を聞くことが出来た。
それは次回で。
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